• わたしの全てのわたしたち

幸福は何を以ってしても測ることはできない、ましてや他の人についてなら尚更だ。

心を配り、配られる事こそ生きることのように思うから、だから私、グレースとティッピが心底“羨ましい”と感じてしまった。

「これ以外の体を知らない。
これ以外の人生を知らない。
たった一人で生まれて、
たった一人で生きるなんて、
リアリティがなさすぎる。」

「わたしの全てのわたしたち」
著:サラ・クロッサン / 訳:最果タヒ 金原瑞人

20200618
  • 突然の贈りもの

皆さま、春の夕暮れ時いかがお過ごしでしょうか?
私事で恐縮ですが、先日誕生日を迎え30歳となりました。正直幾度も実年齢より上に見られる私としては、やっとか…とある意味では少しばかり安堵です。
さて、今年に入り、私は私を取り戻している、私は私でしかいられないのだ、と実感せざるを得ない日々を送っていて、それがなんとも心地よい。人生のピントが合っていて、木々のそよぎや冷たい雨、友の声やキンと冷えたビールでさえ、何もかもがより一層美しく感じています。そんな今の私がとても好き、と自信を持って叫びたいほど。
この煌きを、あらゆるものとの対話を、出来る限り多くの絵に描き残していきたい、そんなふうに思います。今年中に皆さんにお見せできる機会をつくれるといいな。その際は是非、足を運んで頂けたら幸いです。
それでは最後に一曲、大貫妙子氏のアルバムMIGNONNEより、今回の絵のタイトルともなった「突然の贈り物」。是非この絵とともに、お楽しみ下さいね。

20200417
  • ここに音楽が響くことはない

ここに音楽が響くことはない

あるのは何処か遠くから流れる水のせせらぎ

ここはものすごく暑くなることも寒くなることもない

全ての温度は程よく温かく、時々少しだけ冷たくなる

ここには腹を抱えて転がるような笑い事はない

人々が話す言葉はとても少なく、笑うといったら微笑むくらい

この世界には正義も裏切りもない

彼らは石ころも自分も大木も、それぞれにたった一つである事を信じてやまないからだ

20200208
  • グレーと赤茶色のマフラー

私はバスに乗ってアトリエに行く / 山口 由葉 @yuiha1116
幼少期、隣に住む彼女と秘密基地をつくったり、木の実や草を擦りつぶして(煎薬のつもりだった)毎日のように遊んだ日々。少ししか年は変わらないのに、私は随分お姉さんぶって彼女を呼び捨てで呼んだりしていた。(私にはそういう調子づいた所がある)
何の巡り合わせか、歳を重ねた私達はお互いに絵を描いている、不思議なようでなんだかしっくりくるね。
彼女は今日、その昔私達家族が贈ったグレーと赤茶色のチェックのマフラーをしてくれていて、その物持ちの良さと心持ちに笑みがこぼれる。
「大きい絵、描くの得意なんだ。」と力強く答える声に思わず泣きそうになってしまった。

20200202
  • 2020

謹賀新年、明けましておめでとう。
きっといくつかの人が其々にそう思うように、私にとって昨年は革新の年でした。
求めるべきものを確実に、より適切に、私は私の人生に責任を持たねばならない。そして、直接的にでも間接的にでも私に微笑みかけ涙を流す人・ものたちに、出来る限り以上のお返しを。私は私の方法で、愛を循環させていく所存です。
元旦、お昼のラジオから流れてきたはっと目が覚めるような一曲はイ・ランの「笑え、ユーモアに」。始まりに聞くにはなんとぴったり、こんなふうに誰かを揺さぶり、抉り、満たすような絵を描けたならばと身の引き締まる思いです。
2020年、私自身も私の絵も、爆進させて頂きます。もし良ければ、御見守りくださいね。

20200102